M・M

PROFILE

M・M

1997年新卒入社

1999年より日本マンパワーでキャリアカウンセラーの養成事業に参画。キャリアコンサルタント養成講座のプログラム開発や普及推進に携わる。2005年に米国ペンシルバニア州立大学にて教育学修士(カウンセラー教育)取得。現在は日本マンパワー・フェロー及びキャリアのこれから研究所・所長として、企業内のキャリアカウンセリング、キャリア開発、組織開発、企業内キャリア支援の企画・スーパービジョンなどに従事。日本キャリア開発協会認定スーパーバイザー。
※内容は2023時点のものです

現在のお仕事内容について教えてください!

2足の草鞋で、1つは、法人支援。
キャリア自律のための企業内キャリア形成支援や、人材育成、リーダーリップ開発、組織開発、企画、コンサルティング、講師、商品開発などを行います。
もう1つの柱は、専門家育成。
キャリアコンサルタント養成講座のプログラム開発、講師トレーニングなどを行っています。

これまで歩んで来られたキャリアの中で、特に印象に残っていることは?

転機になった出来事はたくさんあって、様々なことにたくさんチャレンジしてきましたし、たくさんの出会いの中で育ててもらってきました。
ただ、あえて挙げるとしたら、仕事に対する考えが大きく変わったのは、親という新たな役割を授かったときのことです。2013年1月~14年3月末まで、30代後半という丁度仕事も繁忙期の時に育児休暇を取得させていただきました。

育休を取り、大好きな仕事から離れることに葛藤や不安もありましたが、親業に専念する時間でした。
子育ての初期は抱っこ、授乳、おむつ替えと、延々の繰り返し作業を昼夜も問わず2時間おきに行うという超ブラック業務(笑)。
肉体的にも精神的にもハードでしたが、子育てを通して教えてもらったことはとても多かったです。
絶対的な愛と信頼、成長の喜びをもらうかけがえのない時間でした。生きていることの奇跡を目の当たりにし、両親や世の中への感謝も高まり、子どもたちがこれからふれる社会に対しても他人事ではなくなりました。
仕事以外のコミュニティにもつながることが出来ました。

復職後、1年間は保育園からの呼び出しで思うように動けませんでしたが、働く喜びや視野の拡大を味わうとともに、育休中の体験や出会った人たちから得られた知見が、企画力にも活かせるようになりました。
キャリアコンサルタントとしても、知識や技能としてのコンサルから、手前味噌ではありますが、1人ひとりが抱えている現実やゆらぎを大切にした、心と愛情のこもったコンサルができるようになったのではないかという感覚があります。
こうした私自身の変化もあったのか分かりませんが、復職後は大きな人事施策案件やコンサルティングをお引受けする機会に数多く恵まれ、新たな商品開発にもつながっていきました。
キャリアとは不思議なもので、一見、わき道にそれるような感覚があったとしても、そこで一生懸命自分を生きていると、たくさんのことを得られるし、紡がれるんだということを実感しました。

当社への入社のきっかけは?

私は大学を卒業後、人材系の会社であるアデコ(旧キャリアスタッフ)に入社しました。
社会のことをもっと知りたいという気持ちから、いろいろな会社に訪問できる営業職を希望し、営業本部に配属されました。
そんな中、たまたま英語がしゃべれたので、当時の小野憲会長の指示で、兄弟会社だった日本マンパワーのキャリアカウンセラー事業の立ち上げに参画。
来訪者対応や、米国出張に同行してアテンド通訳を務めることになったのです。

その後、1999年に日本マンパワーに転籍し、キャリアカウンセラー事業に本格的に関わっていくことになります。
当時はまだ20代でしたが、キャリア開発や心理学におけるベテランの先輩社員とともに、白熱する厳しい議論に混ざってゼロから事業計画を考え、キャリアカウンセラー資格(現キャリアコンサルタント資格)の立ち上げを行えたのは、当時は辛くて大変なことも多かったのですが、やりがいのある日々でした。

ご自身にとっての「自分らしさ」とは?

自分らしさって、その都度立ち現れるものだと思いますし、表現としては移り変わっていくものだと思います。
今の自分らしさを言葉で表現すると、「含む、包み育む(inclusion)」です。

私は海外生活が長く、日本、オーストラリア、アメリカと行き来して育った経験があり、おそらく人並み以上に差別や偏見も経験しました。
なぜ分断や優劣が生まれるんだろうと考えました。
わかってきたのは、人というのは、自分の内面の世界が意外と外の世界を作っているということです。自分を受け入れ、嫌だと思っていた部分やそれまで見えていなかった自分の心の機微も丁寧に自分に含んでいくと、不思議と外側の世界も豊かに見えてきて、含んでいける。
相手を尊重するには、まず自分を尊重する必要があります。
逆もありきかもしれませんが、双方はつながっているのです。 アメリカではダイバーシティの象徴のようなニューヨークに住んでいたこともあり、1人ひとりが自分の個性を発揮し、それぞれの違いに引け目や負い目を感じることなく、のびのびと楽しみ、個々人のユニークさを尊いと感じられ、発揮されるような組織や社会、世の中が創られたらいいな、という願いが心の奥にはいつもあります。
多様ということは、そのぶん衝突したり、ややこしいことが起こったりするものです。
でも、そうした面も含めて「人間性をあきらめたくない」と思っています。

ところで、成長とは「複雑性への認識が増していくこと」だそうです。
だとすると、自分の中の複雑性も、相手の複雑性や多様性も、もっと豊かにそこにあるんだと認識できる世界、複雑性や多様性を含み、包み込んでいける世界になるといいなと思います。
キャリア支援は、そんな世界に向かう方法の一つだと感じています。

名刺の色はマゼンダですね。この色を選んだ理由を教えてください。

マゼンダは強い色でパワーを感じるので、自分としては淡く優しいピンクを選びたい気持ちもありましたが、マゼンダって色の3原色の1つだそうです。つまり、いろんな色に混ざって、どんな色にも変化していけるということ。そこがいいなと思い、マゼンダを選びました。自分は1人で生きているのではなく、いろいろな人のおかげで活かされているという感謝も込めていますし、私も周囲の人たちの役に立てるといいなと思っています。

プライベートで凝っていることはありますか?

思考的な仕事が多いせいか、プライベートでは質感や質量を感じられるものやことが好きで、自然が好きです。野菜を栽培したり、熱帯魚を飼ったり、キャンプを楽しんだり、お裁縫で手作りをするのも好きです。
買えばいいのかもしれませんが、そこに手間をかけてみると、文脈や物語が生まれて、温かみと唯一の何かが生まれるので、好きですね。

また、心震えることが好きなので、ヒューマンドラマも大好きです。仕事柄、脚本に興味があります。
キャリアコンサルタントは、1人ひとりが、その人らしい人生の物語を紡いでいくためのお手伝いをする仕事だと思っています。

今後のビジョンや目標を教えてください!

少し壮大な響きに感じられるかもしれませんが、キャリア支援や教育を通して、1人ひとりの成長と社会の成熟が促進され、持続可能でウェルビーイングの高い社会が育まれることを、割とまじめに考えています。
簡単なことではないので、逆に探究しがいがあります。

今、スウェーデンを中心に、IDGs(Inner Development Goals/持続可能な社会のための内的成長目標)を掲げて広げる活動が進んでいます。
世の中の分断や複雑な課題を解決する上では、外的なことだけでなく、心の成長がとても重要です。先にお話ししたように、内と外はつながっているからです。
IDGsの活動は国連も承認し、ハーバード大学やMITの研究者たちも立ち上げに参画しており、さらに展開が広がっていくことに期待しています。
私も日本のHUBとして発信の役割を担っています。

IDGsについて: https://future-career-labo.com/2021/05/31/mizuno11/

キャリア支援を通して、働くに自分らしさを、誰もが夢中になれる社会を作っていくことは、会社のみんなで紡いだ想いであり、私自身のビジョンでもあります。